ここ数年、インテリアのテイストとしてインダストリアルな雰囲気が流行していることもあり、アイアンを用いた家具や雑貨を部屋のアクセントに取り入れたショップや部屋を多くみかけるようになった。
一見、男性向けのようなゴツゴツと冷たい印象になりそうなアイアンを使った家具も、いざ、インテリアとして取り入れてみると、不思議とクールさだけではない、木と同じような温もりをそこに感じることが出来ることに気づくはず。
その理由は、”鉄を成形する”という工程に機械的なものではない「人の感覚」が入っているということ、つまりそれが、ひとつとして同じものはない木と同じような温もりに繋がっているのではないだろうか。
実験工房 六
おもにFB(フラットバー)の加工を行う山形県酒田市の工房。
ご存知の通り、鉄を成形するには「熱する→叩く」を繰り返すことになる。
六 ではコークスと呼ばれる石炭を乾留(蒸し焼き)して炭素部分だけを残した燃料を炉で燃やし、そこに成形する鉄を入れる。
炉のコークスの燃焼温度は高ければ1,500℃ほど。その中で、鉄を熱し、赤くなった頃合いを見て取り出すと、金床と呼ばれる台の上で真っ赤な鉄を叩くのである。
成形に適した鉄の温度はおよそ1,000℃程だということだが、もちろん温度計があるわけではなく、赤からオレンジ、黄色と温度によって変化する、熱せられた鉄の微妙な色の違いを見て判断している。
同じような形を複数個作りたい場合は、同じような温度、同じような力で鉄を叩かなければならないのだが、使用している金床の温度も時間の経過とともに変化し、叩く鉄の温度変化に影響を及ぼす為、この辺りの感覚も難しいとのこと。
ちなみに、アイアン=マットな黒をイメージする方も多いと思うが、これは仕上げ塗料によるものらしい。
塗料は刷毛で塗っているそうなので、その辺りも味わいに繋がるのだろうか。
ちなみに、こちらは鉄と古材を組み合わせて作った我が家のTVボードの一部。
木材と組み合わさった時に、鉄だけ浮いて見えずにバランスよく見えるのも、人の感覚によって作られた鉄に対して、自然と木と同じような温もりを感じているからではないだろうか。
実験工房 六
https://jikkenkobo-roku.com
※WEBサイト制作:arui