流行り廃りを尻目に、とはいえ特別意識されるわけでもなく、レイヤーの2番手、3番手をブラブラと往来しながら気づけば何年も経っているような燻し銀の服がワードローブにある。
学生の時に購入したブラウンのシャンブレーシャツもそのひとつで、かれこれ16、17年経つだろうか。
1850年代に創業しサンフランシスコに本拠を置いていたノイシュタッダー社のワークウェアブランドに「BOSS OF THE ROAD」というのがある。
ヴィンテージ界隈では有名(らしい。僕はその方面に明るいわけではなく、購入当時も詳細は知らなかった。)で、特にノイシュタッダー社がリー社に買収される1940年代以前のウェアは珍重されているようだ。
件のシャツも「BOSS OF THE ROAD」のブランドタグはついているものの、もちろん”本物のヴィンテージ”ではない。
現在ブランド特許を日本のエドウィンが持っていて東洋エンタープライズから実名復刻されたものであるらしい。
とはいえ、そこは流石。襟元のチンストラップや左右非対称の胸ポケット。裾にはセルビッチを使用したマチがあり空環仕上げになっていて、ディテールは昔ながらのワークシャツになっている。
だからどうした、と言われれば無言になるしかないのだけれど、こうした細かい仕様やワークウェアならではの屈強さにどこか愛おしさを感じ、決してデリケートにではないけれど何年も何年も着続けている。
生地の色褪せやタグの掠れ、縮みによる縫い目のシワなんかを眺めながら一杯やれるような人間なのだと改めて思った。